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執筆者の写真Yuji Horimoto

テレワークは簡単、でも在宅勤務は難しい


新型コロナウイルスの感染拡大にともない、テレワークを導入している企業が話題になっています。厚生労働省はLINEを使った調査で4月30日に全国でテレワークを導入しているのは4月12日~13日時点で27%と発表しました。


 第1-3回「新型コロナ対策のための全国調査」からわかったことをお知らせします。

 第4回「新型コロナ対策のための全国調査」の実施のお知らせ - 厚生労働省


この調査では、テレワーク実施率の全国平均が27%、最も進んでいる東京都でも52%と政府が目標とする70%には遠い結果でした。


また、7月14日に東京商工リサーチがインターネット使った調査結果を公表しています。


そこでは、感染防止で導入が広がった在宅勤務やリモートワークを「現在、実施している」と回答した企業は31.0%で、「実施したが、現在は取りやめた」は26.7%で、4月の厚生労働省の調査より多くの企業がテレワークに取り組んでいますが、なかなか進まないテレワークの実態を表しています。


 第6回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査 : 東京商工リサーチ


今回はテレワークのについてその課題と今後の展開について考えてみました。


 

日本テレワーク協会は、テレワークを「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology) を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」と定義しています。


テレワークのおもな形態

 テレワークとは|日本テレワーク協会


テレワークはイコール在宅勤務と誤解しているかたもいるようですが、実は在宅勤務はテレワークのひとつの形態にすぎません。


一時的に自宅で仕事をするような場合は在宅勤務というよりモバイルワークと言ったほうが適切であろうと考えます。施設利用型も同様で、仕事をする場所が自宅やサテライトオフィスであるだけなら出張先のホテルで仕事をすることと基本的に違いはありません。


モバイルワークとはパソコンを事務所の外に持ち出し、パソコンでできる仕事はどこにいても出来るようにしている仕事のかたちのことです。モバイルワークでは外でする仕事が終わったあとは事務所に戻ることが前提でしょう。


長期の出張の場合であっても事務所でないと出来ない業務は出張から戻って処理することになります。勤務時間の管理も出張手当を支給することで残業代にあてることで問題のないようにしている企業が一般的ではないでしょうか。


政府は、新型コロナウイルス感染防止のために人の移動を極力減らすために会社に出勤する人を少なくししようとしています。それは、原則会社に出社することなく仕事のすべてがオンラインで完結するスタイルを求めています。すなわち自宅利用型あるいは施設利用型の勤務のスタイルをテレワークと言っているのでテレワークと在宅勤務を同じものと考える人がいても当然のことでしょう。

いまは非常事態なので一時的に会社に出勤しないで仕事をしているだけで、落ち着いたらまた会社に通勤して仕事をすると考えるなら、モバイルワークの環境を用意してオンラインでは出来ない部分の工夫をすれば何とかしのげます。


準備をしないでいきなりテレワークを始めた多くの企業はモバイルワークで何とかやっているようでが、常時仕事をする場所は自宅または管理者のいないサテライトオフィスあってたまに会社に行くような勤務形態になれば、モバイルワークの延長線上で考えるわけには行きません。


 

パソコンを外に持ち出して仕事をするためには、パソコンと高速のインタネット環境があればセキュリティ対策の問題がありますが実施は比較的容易です。

原則会社に出勤しないで自宅あるいは自宅の近くのサテライトオフィスで仕事を完結させる形態のテレワークでは機器とソフトを用意するだけでは十分ではありません。テレワークに取り組んでみてると様々な課題が浮かび上がってきています。


1.自宅のインターネットが遅くてビデオ会議が出来ない

2.A3のプリンターやスキャナーがない

3.紙の書類に押印する必要のある文書がある

4.チャットでの対話に馴染まない

5.紙の書類で保管してい文書の閲覧が出来ない

自宅でほとんどの仕事をこなすことが出来てもハンコを押すために会社に行かなければならないなどといった笑えない話も聞かれます。オンラインで承認が出来る仕組みやペーパーレス化なども取り込む必要があります。


仕事の評価は


さらに大きな課題は社員の評価です。会社に出てこない社員をどうやって評価するかということは簡単ではありません。日本の多くの企業では社員の仕事を労働時間で考えています。勤務時間中業務に専念することが前提ですが上司は部下が業務に専念していることを確認することは物理的に不可能です。


その上、自宅で仕事をすると仕事のオンとオフを切り替えるのが難しくなります。厳密に時間管理をしようとすると管理は極めて煩雑なものとなり業務効率を落とすことになるでしょう。コンピュータで細切れの時間を管理するシステムを導入しても集中して仕事をしているかどうかはわかりません。


そもそも日本では会社員を勤務時間で管理する考え方が主流で法律もその考え方に沿っていますが、時間で仕事を管理することが合理的であるとはいえずジョブ型雇用を検討する必要があります。もちろん、ジョブ型雇用にシフトするためにはパソコンを外で使える様にするための投資とは比べ物にならないほど多くのハードルがあります。

 

緊急事態宣言中在宅勤務を行っていた企業のなかでは宣言解除後も在宅勤務を継続するという企業がある反面、在宅勤務はただちにやめて出社を指示する企業があります。コロナ過を機会に働き方を変えようと考える企業と一時的な対応と考えていた企業との考え方の違いでしょう。


在宅勤務は社員にとっては通勤のための時間が不要になりその時間を有効に活用できるなどのメリットがあります。企業にとっても通勤手当が不要になるだけでなく高額な家賃が必要な都心の事務所が不要になるなどコスト面でのメリットが生まれてきます。


その反面、従来の労務管理の考え方から抜け出られないところも多く仕事のやり方を変えようとしない企業もあります。


おなじ事務所内に勤務していてもビデオ会議ならいつでもすぐに会議を始めることができて短時間で終われる上に録画をしておくと会議に参加できなかった人にも会議の内容を共有することが出来るようになります。書類の電子化など必要ですが、いつでもテレワークが出来る環境が整備されることで生産性を上げることが可能になります。

 

新型コロナウイルスの感染が収束するには時間がかかりそうです。壮大な社会実験の結果がわかるのはまだまだ先のことになるでしょうが、テレワークによるメリットを実感した企業が増えることで社会は確実に変わっていくことでしょう。いきなり雇用形態を変えることは出来ませんが、いつでもテレワークが出来るように仕事をする環境を整備しておく必要があるように思います。



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